石油の利用は古く、紀元前4000年頃のメソポタミアで彫刻の素材として、また紀元前2500年頃のエジプトではミイラの防腐剤として天然アスファルトが利用されていました。
わが国では秋田県潟上市豊川の槻木遺跡から出上した縄文土器にアスファルトの付着するものがあり、縄文人はアスファルトを土器のヒビ割れ修理に利用していました。そして、「日本書紀」には668(天智7)年、越の国(現在の新潟県)から燃える水・燃える土が近江大津宮に献上されたとあり、これがわが国最初の石油についての記録です。
天然に滲み出した石油から独特の臭気が漂うため、江戸時代の見聞録には石油を“くそうず”と呼び、草生水・臭生水・草水などと書き表しました。1812年(文化9年) に刊行された「北越奇談」に“越後七ふしぎ”の一つ、火井が記録されています。これは、言うまでもなく天然ガスの炎ですが、この頃にすれば、まことに不思議な出来事だったのでしょう。