第二次大戦後今日に至るまで、わが国にとっても世界全体で見ても、それまでの石炭に代わって最も重要なエネルギーは石油(原油および天然ガス)になっています。近年は、地球温暖化を抑制するために、化石燃料資源の使用量を減らし、再生可能エネルギーの利用・開発を促進する動きが盛んですが、今後もしばらくは石油が最も重要なエネルギーであり続けることになるでしょう。
石油資源を探し(探鉱段階)、もしも商業生産できるだけの埋蔵量が発見されればそれに合わせた生産設備を建設し、そこから原油あるいはその他の石油系炭化水素を生産する(開発・生産段階)事業が石油開発です。その何れの段階でも、巨額の資金が必要であるばかりでなく、経済的に極めてリスキーであることが特徴的です。仮に探鉱に成功してもこれを開発あるいは生産する段階になって大幅に原油価格が下落したり、わが国の場合円高が進むと海外事業の採算は悪化するので、探鉱段階のみならず開発・生産段階でもリスキーな事業と言えます。その一方で、商業生産に見合う油ガス田が発見された場合は、巨額の資金投資に十分見合うだけのリターンに繋がることも事実です。
地下の資源量で経済的に意味を持っているのは、ただ物理的に地下にある量ではなく、商業的にこれを地上に採り出せる「可採埋蔵量」です。
今後はかつてのように巨大油田や超巨大油田が発見される可能性は少なく、中小油田でもその開発生産に取り組まなければならなくなり、しかも地理的、物理的に厳しい僻地、深海、極地等にも進出しなければならなくなっております。石油開発事業は、このように原油価格や為替の動向にその成否が大きく依存するばかりでなく、事業の各段階とも、いかにコストを引き下げ、効率・採算の良い方法を採用するかという技術開発の問題が決定的に重要になります。それによってこれまで失敗した事業を成功に変えることにもなるのです。